抗がん剤で落ちた筋肉。60歳過ぎても増やすことができた理由は?
抗がん剤で筋肉が落ちるということを私は知らなかった。
今回、毎日の運動の積み重ねで何歳になっても筋肉をつけることができるということを気づくことができた。階段の上り下りである。
- 運動嫌いが膝を過保護にし続けていた
- 筋肉不足の原因は抗がん剤と運動不足
- 乳がん術後、看護師から勧められた「アバンド」
- 知らないうちに太ももに筋肉がついていた。そのわけは昇降運動!
- いまからでも遅くない。筋肉貯金を始めよう
- おわりに
運動嫌いが膝を過保護にし続けていた
私は30年前、左膝前十字靭帯断裂をしている。
もともと運動が大嫌いな私である。左膝の術後はとにかく膝を大事にした。
自転車には乗らない。ゴミ出しも車で。階段の上り下りは避ける。歩かない。
30年続けている在宅での仕事も、歩かなくて済むから始めた仕事だった。
規定の角度まで膝が曲がらないと退院できない。私は退院できるまでに3か月かかった。
私は退院後のリハビリには一度も通わなかった。
当時入っていた保険には通院でも給付が出るものだった。
それでも運動が嫌いな私はリハビリに通わなかった。
退院後のリハビリは「筋肉をつけるためのリハビリ」だったことを、当時私は知らなかった。
「対応年数10年」。当時の術式では10年経ったらまた再手術と言われていたので、なるべく長持ちするように、とにかく膝を過保護にした。私の手術は当時の術式に少し新しい術式を取り入れた手術だった。(だから30年以上も持ち堪えている?)
今のように情報がない時代。リハビリは「膝が曲がるようにするもの」としか理解していなかった。
筋肉不足の原因は抗がん剤と運動不足
私は杖の代わりになるスワニーのカートを購入し、常に持ち歩いていた。
それは抗がん剤の副作用でむくみ、歩くのがつらい時期があったからだ。
むくみは引いたが、膝が痛くなり整形外科を受診した。
葬儀に出席するためにパンプスを履いてからのことだ。杖がないと歩けない。歩くたびに左膝に激痛が走る。
「再手術しましょうね」と言われることを想定し、「今なら入院しても大丈夫」という時期を選んで受診した。
先生は「靭帯はしっかりと留まっていますよ、どこでされましたか?」
病院名と先生の名前を言うと「さすがですね。どこも悪くないですよ」
それでも一歩歩くにも激痛が走る。
診察室の隅に置いていた杖の代わりに使えるスワニーのカートの中から物を取り出していたときに先生の視線を感じた。
最近では高齢者がよく使用されているが、私の年齢ではまだ早すぎるアイテムである。
「あっ、これは膝が痛くて買ったのではなくて、以前、抗がん剤で…」と言った。
「あぁ、抗がん剤やったんですか?あまりにも筋肉が少ないと思ったんですよ。抗がん剤すると筋肉落ちますからね。それですね。」と先生に言われた。
膝の痛みは抗がん剤の副作用による筋肉量の低下と、もともとの運動嫌いが原因だった。
「筋肉をつけましょう。当分リハビリに通ってください」と言われた。
膝の手術以来、膝がぐらぐらとして安定しないので、膝のサポーターはいろいろと試していた。リハビリをして筋肉をつけてさえいれば必要ないものだったといま思う。
今回は入院覚悟で受診した私は少し拍子抜けをした。
痛み止めの薬を処方してもらい、痛みが引いた私は仕事が忙しく、リハビリ通院はしなかった。
スワニーのキャリーバッグは小児麻痺の後遺症に悩む、スワニー相談役三好鋭郎さんが開発された杖の代わりにもなるキャリーバッグだ。小回りがきき、店内や人混みの中でもストレスがない。バッグを取り外して使えるところも便利。
普通のキャリーバッグよりは値段は高いが、足に不安がある人には絶対におすすめのメーカーです。↓↓↓
乳がん術後、看護師から勧められた「アバンド」
乳がんの手術をして退院前に看護師さんが「月に3万円くらいかかりますが、抗がん剤治療中は『アバンド』を1日3袋飲むといいですよ」と勧められた。病院が紹介してくれるのかと思ったら、教えてもらったのは、「アバンド」という名前とネットで購入ということだけだった。
「アバンド」。ネットで検索するとスポーツ飲料的なことが出てくる。
「抗がん剤治療中の人の必須アイテム」とも書いてある。
私の中では、抗がん剤→筋肉量の低下という知識がなかったので、何にいいのかわからなかった。
「アバンド」の会社に電話をして「抗がん剤治療中にいいと勧められたのですが、何にいいのですか」と質問した。
「清涼飲料です」
はっきりと答えてはいけないのだろう。「医薬品医療機器等法」に抵触するからなんだろうなと思った。
Amazonで購入した。
名称 清涼飲料(粉末タイプ)とだけ書いてある。
1袋を300ミリ弱の水に溶き飲むのだ。
何に良いのかわからないまま、購入したが、抗がん剤治療中で味覚障害もあり、あまりおいしいものではなかった。
抗がん剤の副作用は「吐き気とだるさ」だと思っていた私は、思ったほどの症状が出なかったので、1ヶ月飲み終わったら次の購入はしなかった。
筋肉が落ちるのを防ぐためのドリンクだとその時には思わなかった。
その後、抗がん剤の副作用にも書いているが、腕のリンパ浮腫と体のむくみで歩くのも階段の上り下りも大変になった。
「むくみ」が原因と思っていたが、「筋肉量」も落ちていたのだ。
「アバンド」を続けて飲んでいたら、筋肉が落ちていくのを防ぎ、むくみが強くでていたときの歩行困難も軽かったのかもしれないなと今は思う。
知らないうちに太ももに筋肉がついていた。そのわけは昇降運動!
それから1年くらい経ったころ、親族が集まることがあった。私が階段を下りる姿を見た親族がびっくりした。「階段を下りている!」
私は毎日のことで自分でも気づかなかったが、階段を上り下りが抵抗なくできるようになっていたのだ。
効果があったのは、毎日の階段の上り下りだった。
1階にあった仕事場だが、2階も借りることになり、毎日何往復も上がり下りをすることになった。
靭帯を切ってからの28年は、自宅の2階にも上がらない生活をしていた。
運動や散歩は嫌な私でも、仕事場では「歩きたくない」とは言えない。
毎日何往復も上り下りするのだ。
その階段の上り下りが私の太ももに筋肉をつけてくれたのだ。
私の左脚、特に太ももは右脚に比べてかなり細かった。筋肉が落ちているからだ。
気が付くと、左右の脚の太さが同じになっていた。
「最近、太った?」と思っていたのは実は筋肉がついていたのだ。
年をとっても「筋肉は増やせる」という意味が身をもって理解できた。
私と同じ運動嫌いの乳がん友達が久しぶりに電話をくれた。
「抗がん剤で落ちた筋肉は、階段の上り下りが一番いいらしいよ」とアドバイスをくれた。
友人はマンションに住んでおり、どうしてもエレベーターを使ってしまうため、昇降台を買って部屋の中でやっているそうだ。
私は「仕事場をもう一つ借りて、それが2階なので、毎日上り下りしているおかげで筋肉がついた」と自慢した。
いまからでも遅くない。筋肉貯金を始めよう
やはり、いまでも散歩を続けることは難しい。
しかし、買い物に出かけたときも、エスカレーターかエレベーターしか使わなかった私も、最近は階段を使うようにしている。
正確には、階段を使えるようになったというべきである。
同年代の人は膝が痛いという人が多い中、私はこの30年間でいまが一番「脚が元気」である。
しかし、年齢的にも「膝」に問題を抱える年齢であるから、毎日の「筋肉貯金」は続けていくつもりである。
簡単なのでただいま取り組み中↓↓↓
おわりに
私はいま63歳で3度の乳がん手術と2度の抗がん剤治療と2度の放射線治療を経験している。
いまは毎日1粒のホルモン剤(アリデミックス)を飲んでいる。あと3年は続けて飲まないといけない。副作用としては、指先にこわばりが出る。
もろもろの後遺症もあるが、加えての加齢である。
乳がんには関係ない人でも老化であちこちに不調がでてくる年齢になっている。
私はこの2年間で、無意識のうちに、必要に迫られて階段を上り下りしたことで、やっと普通まで筋肉を取り戻したと思っている。
今度は「筋肉貯金」である。楽しく「貯金」をしていくつもりである。
何故ならば、私は一人ピンクリボン運動をする「明るい乳がん患者」なのだから!
いつもお読みいただきありがとうございます。
ポチっと押していただけると励みになります。